2020年5月。
中学校の同窓会に誘われて会場に早く来るように催促される当時の先生・小泉幸恵。彼女は教え子である西ノ宮桜子からメールを受け取る。
「今日は報告したいことがあります」
彼女からのメッセージを見て立ち尽くす小泉。中学時代の桜子が思い返されていく。
頭が良くて、可愛てく、誰にでも優しかった桜子。しかし、ある日を境にしてそれが崩れていく。
「小泉先生!遅いから心配したよ~!」
小泉を出迎えるのは元教え子である須賀。浮かない顔をしている小泉を心配する須賀。
彼に桜子から受け取ったメッセージを伝えていく。
「西ノ宮さんのお母さんが自殺したって…」
小泉の言葉を聞いてざわつく会場。周囲では「アレ」にせいではないかと憶測が飛び交っていく。そんな訳はない。もう10年が経過していると開き直る須賀。
所詮、他人事として扱う須賀達に驚愕する小泉。
別の日。
小泉は久しく桜子と対面を果たしていく。元気そうな表情の桜子。彼女は小泉に感謝を述べていく。先生とのやり取りが心の支えで生きてこれたと。
母が死んでも不思議と気持ちは落ち着いている事を明かす桜子。
「母を悲しませたくなくて出来なかったことが出来るから」
また連絡するといって立ち去っていく桜子であった。
アパレルショップの店長を務める須賀。彼には香苗といった婚約者がいた。仕事終わりに香苗と合流。愛を育んでいく須賀。香苗が来ていた運命のワンピース姿を見て惚れ直していく。
ホテルに入って体を重ね合わせていく二人。
絡みも終わってシャワーを浴びようとすると須賀の携帯にメールが送信されてくる。
「パパ、会いたいよ」
添付されていたファイルには須賀と元カノであるモエのツーショット写真。そこには「できてた♡14週」と書かれていた。
突然のことで驚く須賀。香苗も心配するが上手く誤魔化す。モエは子供を堕ろしたはず。さらに香苗にこの事実が知られるのを怖がる須賀。
仕事中、シラハラモエの名前でワンピースの取り置きがある事に気がつく。スタッフに尋ねると電話で取り置きしておいて欲しい旨を伝えられたと。
再びメール。
そこには産婦人科の写真が添付されていた。もしかしてモエは子供を産んだのか…勘ぐる須賀。
話をつける為、取り置きワンピースに記されていた番号へ連絡。一方的に捲し立てる須賀。電話口からはまったく言葉が出ない。しかし、最後に…。
「須賀くん」
名前だけ呼ばれて電話は切られていく。須賀はモエの声と微妙に違うことに違和感を覚えていく。
2010年5月に遡る。
15歳で中学生だった須賀や桜子。彼は桜子に好意を抱いていた。容姿、頭脳、交友関係、親まで全てが完璧な女性であった桜子。
中学卒業前に須賀は彼女に告白をしていく。
「受験生だし、そういうこと考えられない」
フラレてしまう須賀であった。思わせぶりな態度をしていた桜子に怒りが募る須賀。そんな時、エロサイトである秘密を見つけてしまう須賀であった。翌日、フラれた腹いせに桜子に仕掛けていく須賀。
「このAV女優…西ノ宮の母親に似てね?」
そんな過去を思い出すと同時に須賀の携帯にメール。添付された写真には黒板に「ずっと忘れない」と書かれていた。